撮影前から一体感

たくさんの柴犬が出演します。撮影に入る前に、キャストや制作チームが共通認識として持っておいた方がいいことを勉強する時間をいただきました。ドッグトレーナーの方々に指導いただいて、犬の性格や嫌がること、嬉しいことを学んだんです。

準備段階で大切にしたのは、その子自身の性質を肌で感じておくこと。例えば、のこは前足を触られるのが苦手。だから、「台本には書いてあるけど、この子の性質としてそれは苦手」というのを見つけたら、「代わりにこんなアイデアはどうですか?」と提案していました。

(『シバのおきて』/(c)NHK)

最初からチームの一体感があったのも犬たちのおかげです。作品では通常、キャストや制作チームと徐々に仲良くなっていきますが、今回は違いました。動物と触れ合う時に、人間性が見えるからお互いの警戒心がなくなって、「この人は信用できる」というところから始められました。

撮影が始まってからも、みんな楽屋に帰らず、犬の待機部屋に遊びに行っていました。犬を介して1つになっている実感がありました。のこたちとは、現場で会うだけでしたが、言葉が分からない分、彼らの気持ちを理解しようとする。言語を超えた思いがつながる瞬間があると、撮影を通して感じました。