自由奔放さが魅力

心配していたのが、芸達者ゆえに技のお披露目会みたいになること。でも、のこは自由奔放なところがあって、こちらが思っていた行動と違うことをすることもあるんです。それが映像で見たときに魅力的でした。

僕はお芝居をしたときに、自分が意図的に何かをしてしまっていると後悔することがたまにあるんです。のこのように自由に、予想もしていない芝居でも魅力的に映るような俳優でありたいと思いました。

(『シバのおきて』/(c)NHK)

チーフ演出とは、「犬は思い通りにならないことが魅力。思い描いているビジョンを絵に残そうとするよりは、犬が持っている魅力を引き出していけたら」と話していました。「ままならなさ」も含めて魅力として捉えたかったんです。

人間の都合よく撮ることによって、本来の魅力が薄れることを恐れていました。でも、のこは「こういうふうになればいいな」というイメージをいい意味で壊してくれたんです。