各地で大規模に路線バスの廃止・減便が行われた

しかし現在は、人口構成の高齢化と就業年齢人口の減少が進み、多くの産業分野で就職応募者が減少して、若年労働力の取り合いになっている。その結果、給与の引き上げがなければ新人の採用は難しいが、バス業界では、もともと路線バスの利用者が大きく減少を続けていて、それにコロナ禍による利用者の激減がとどめを刺す形となり、給与を引き上げる余裕がないのが現実である。

こうして、2024年4月1日の前後に、人手不足を理由に、各地で大規模に路線バスの廃止・減便が行われ、連日のようにマスコミが報じた。

需要の減少による経営の悪化で、労働条件が悪化し、バス運転士を就職先に選ぶ若者が減少し、人手不足から過剰労働となっていった。その過剰労働をなくすために制度を見直したら、さらに運転士不足が拡大し、路線の廃止や減便をしなければならないという、負の連鎖反応が進んでしまったのである。

路線廃止・減便で、労働条件が緩和されても減収・減益となり、賃金の引き上げの原資が不足し、結果として若手にとって魅力を感じない業界であるのは変わらないということになりかねない。

バスの運転免許

運転免許(第一種)は、道路交通法での大型、中型、普通に対応し、大型免許の保有者は、大型、中型、普通自動車の運転ができ、中型免許の場合は中型、普通自動車の運転ができる。

さらに旅客運送事業については旅客を運送するため、第二種運転免許が必要である。年齢が21歳以上で、すでに大型免許、中型免許、準中型免許、普通免許、大型特殊免許のいずれかを所持し、その保有期間が通算3年以上必要である(その後規制緩和。後述)。

なお自治体が保有する白ナンバーの自動車で有償運行を行う場合などでは、第二種運転免許所持を基本としているが、実情に応じて第一種免許でも可能である。その場合、過去2年以内に免許の効力を停止されていないこと、国土交通大臣が認定した講習実施機関で講習を受講することが求められる。