国・自治体による対策
運転士不足への対処として、自治体が若手の雇用に対して補助金を支出する例も増えている。ただ、たいていは採用時の1回限りで、どれだけの効果が上がるのか、まだ未知数である。
また、政府もバス業界の要望を受けて「道路交通法の一部を改正する法律案」を2020年(令和2年)6月に成立させ、2022年5月に施行した。これにより大型二種免許取得要件を緩和し、年齢要件を19歳以上に、普通免許取得後の経験年数を1年以上に引き下げた。
2023年3月、自民党バス議連は、「令和6年4月からの残業時間上限規制も加わり、いっそう深刻化するバス運転者不足対策として、外国人労働者受け入れに係る特定技能制度を見直し、バス事業に外国人労働者を活用できるよう制度見直しを講じること。その際に、各国出身の外国人による大型二種免許の取得が円滑に行われるよう措置をすること」と決議した。2025年2月には両備グループで全国初の外国人運転士が採用された。
※本稿は、『日本のバス問題-高度成長期の隆盛から経営破綻、再生の時代へ』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。
『日本のバス問題-高度成長期の隆盛から経営破綻、再生の時代へ』(著:佐藤信之/中央公論新社)
本書は日本におけるバスの誕生に始まり、戦後のモータリゼーションとその対抗策として生まれた様々なサービスを解説する。
さらに既存バス会社の保護から規制緩和へという流れと、新たに生まれた独創的なバス会社も紹介。
日本のバス事業の課題と将来を展望する。