「家族の敵」をつくることで絆を保とうとする子どもたち

家族に共通の目的ができることで、夫婦の関係が一時、修復される。

家族に共通の「敵」を作り出すことで家庭環境を修復しようとする行為は、ほかにもさまざまな形で表れます。

(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)

ある中学生の話です。「授業中、自分だけが2回も当てられた(先生の嫌がらせじゃないか)」「廊下を歩いていたら、近くにいた子が私を避けたような気がした(これはいじめじゃないか)」など、気になることがあれば、小さなことでもすぐに両親に報告していました。そのたびに両親は子どもと一緒に学校に対し、抗議を繰り返していました。

なぜ、彼らはこうなってしまったのでしょうか。

子どもが学校での出来事を報告すると、ふだんは仲の悪いご両親が、そのときばかりは力を合わせて学校に抗議します。

たとえば、「どうしてうちの子だけ二回も当てられたのか」「いじめた生徒に謝罪させろ」など、ささいなことでも「大きな問題」として学校に意見を言うのです。

このように、学校という家族共通の「敵」を設定することで、家族は一時的にチームとして団結し、ふだん疎遠な関係が改善されることがあります。

子どもはそのことを深いところで理解し、自らそうした行動をとっていたのです。