子はかすがい

こうしたケースは、決してめずらしくありません。

「子はかすがい」という言葉の通り、ときに子どもは、自分自身を犠牲にしてまで壊れそうな家族をつなぎとめようとすることがあります。

ですから、もしも子どもに何らかの困りごとがあり、その原因がはっきりしないときは、家族の関係性にも目を向けてみてください。ただし、それは犯人探しであってはいけません。子どもは、家族の誰も責めたくないのですから。

夫婦の関係性や、それぞれの実家・親戚とのかかわりなど、詳しいことがわからなくても、子どもは家庭の「空気」にとても敏感です。だからこそ、子どもにとって家庭が、安心できる場所であるよう心がけたいものです。

とはいえ、「家族」だからこそ話し合いが難しい場面もあるでしょう。そんなときは、スクールカウンセラーなど中立的な第三者に立ち会ってもらうことをおすすめします。

「こんなことで相談して、迷惑がられないかな?」などという心配は無用です。ささいに見える問題の中に、じつは大きな問題が潜んでいることもあります。ぜひ遠慮なく頼っていただきたいと思います。

子どもの本音
「自分が悪者になれば、家族は仲良くなるのかな」

 

※本稿は、『3万人の親子に寄り添ってきたスクールカウンセラーが伝えたい 10代の子どもの心の守りかた』(実務教育出版)の一部を再編集したものです。

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