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現在、教育界では明治維新以来150年ぶりに教育の抜本的な見直しが進められています。そんななか、日本最大級の教育イベント創設者・大学特任准教授・学校法人理事など、さまざまな立場や役割で教育に関わっている宮田純也さんは、「大切なのは『変化に適応する』だけではなく、積極的に『未来を構想していく』ことです」と語ります。今回は宮田さんの著書『教育ビジネス 子育て世代から専門家まで楽しめる教育の教養』(クロスメディア・パブリッシング)から一部を抜粋し、お届けします。

子どもの貧困やメンタルヘルスの問題

文部科学省による令和4年度公立学校教職員の人事行政状況調査によると、教員の精神疾患による病気休職者数は調査時点で6539人(全教育職員数の0.71%)となり、過去最多を記録しています。

先生も人間ですから、ひとりで学校現場に起こっていることに対応するのは非現実的で、すでに限界を超えていると言えます。その背景には、学校の高度化と教員の仕事の特性に加えて、子どもの貧困やメンタルヘルスなどの社会問題があります。

厚生労働省によれば、2022年の調査で日本の子どもの7人に1人が貧困状態にあり、さらにひとり親家庭においては約半数が貧困状態であるという結果が出ています。

さらに、文部科学省によれば、小中学校における不登校の数も2023年度は調査時点で約35万人を記録し、11年連続で過去最高を記録しています。文部科学省委託事業による不登校要因調査では、貧困状態や虐待など家庭の困難さ・発達などの障害・メンタルヘルス・いじめなどが主因として挙げられています。