小池都知事の会見~非常時にパフォーマンスはいらない

4月7日時点の「休業要請」は、小池さんが少し先走った感がありました。私が気になったのは、「理・美容院」にかんする食い違いで、小池さんが7日に出したプランでは入っていましたが、西村康稔経済再生相が「(理・美容院は)入れません」と言っていましたね。また、業種を指定するのはいいけれども、その休業補償について、当初政府に丸投げしていたのは問題だと思います。

(編集部注・4月10日の会見では、休業要請の対象に「理・美容院」は入らず、都が独自に「休業協力金」を出すことを発表した)

『消えた「風圧」絶滅危惧政治家図鑑』著:伊藤惇夫(光文社)

小池都知事の会見には、つねにパフォーマンスの臭いがします。たとえば3月23日の会見で、小池都知事が「ロックダウン(都市封鎖)」と言いましたが、これは誤ったメッセージです。今の日本では、外出した者に罰則を与える法律も整備されていませんから、諸外国のような都市封鎖はできません。それなのに、「ロックダウン」と強い言葉を使ったために、独り歩きしてしまった、と私は思いますね。この非常時にパフォーマンスはいりません。心の内から出てくるようなメッセージを伝えてほしかった。

また、小池都知事はていねいな言葉遣いをされていますが、今は言い切る、強い言葉でないと伝わらない。丁寧に言うと、中身が薄まってしまいます。たとえば、「平日につきましては、できるだけお仕事はご自宅で行っていただきたい」、「お急ぎでない外出はぜひともお控えいただきたい」と言われたとき、はたして「禁止」に近い要請だと伝わるかどうか。「じゃあ、出かけていいのかな」と出歩いた人がいたかもしれない。そんな人たちにメッセージを正しく届けるには、強い言葉でないと駄目なんです。

パフォーマンスの面でいえば、3月25日の、最初の「緊急会見」も気になる点がありました。小池都知事が掲げるフリップが、彼女のイメージカラーであるグリーンに塗られていましたが、あの演出は必要だったのか。緊急事態であることを視覚的に伝えるのならば、たとえば赤に塗るべきでは? と感じましたね。