家は住む人を表す
「家は住む人を表す」という言葉がある。確かに毎日暮らす場所には、自ずと自分や家族の本質が滲み出てしまうものだ。
欧州では、家屋は家族や友人知人と集うための場所であり、人目に晒されることが前提となっているから、掃除やインテリアに力を入れている家も少なくないが、時間の経過とともに家は主人の本質を顕在化させるようになるし、来訪者は、そこにその人の新たな側面を見つけることにもなる。
日本でも、ペリーの黒船来航の頃、日本を訪れた欧米人たちは、日本人の暮らしは実に質素で簡素だと記している。人々も家屋と同じく素朴だが、人懐こく礼節がある、とも記されている。
江戸時代は人目を意識して虚勢を張るより、潔くありのままの自分の生き方を晒すほうが粋だったのだろう。

