製麺所の麺と自家製麺の違い

もう一つ、麺について触れておきたい話題といえば、製麺所の麺と自家製麺の違いである。

ぱっと聞くと、自家製麺のお店の方がこだわっていると思われがちだが、製麺所は当然麺を作るプロ。自家製麺の場合は、作り手の技術によってムラが出るわけで、すべてがすべて自家製麺の方が優れているとは言い難い。

自家製麺のメリットは、自分の好きなように小麦を選んでブレンドでき、日によって配合を簡単に変えられることと、製麺所に頼むよりコストが抑えられるという二点だろう。

とあるお店は市場でいちばん安く手に入る小麦を仕入れて自家製麺することで、安い価格で大盛りの量を提供できるのがメリットと語っていた。

つけ麺の元祖で量が多いことでも知られる「東池袋大勝軒」の創業者・山岸一雄さんは、自身が大食漢で、他のお店で食べてもいつも量が足りないからという理由で麺量を多くしていた。

「大勝軒」も自家製麺である。山岸さん亡き現在は二代目の飯野敏彦さんが本店の二階で製麺をしている。天候や気温によって微妙に打ち方を変え、品質を保っている。太めのみずみずしい麺で、つけダレにちょこんとつけてズズッと啜(すす)るととても美味しい。