結局はトータルでその一杯が美味しいかどうか
ただ、コストが抑えられるというメリットは、実は繁盛店だから言えることで、1日に出る杯数がそれほど多くないお店の場合、自家製麺をしたところでスケールメリットが出せない可能性が高い。加えて、製麺すると作業的な工数が大きいため、麺は製麺所に任せて、他の仕込みに時間を使おうと考えるお店も当然多い。
かつては「ラーメン屋なら麺まで自分で作らないとラーメン屋とは言えない」「自家製麺をしないお店はスープ屋に過ぎない」という論調もあったが、私はそうは思わない。
当然、自家製麺は魅力的だが、製麺所の麺で美味しい一杯を仕上げている名店もたくさんある。結局はトータルでその一杯が美味しいかどうかが大事だと思う。
麺の中には、自家製麺でしか作ることのできない独特の食感や縮れ感を持つ「手打ち麺」のような麺もあるが、技術革新により製麺所でも手打ち風の麺が仕上がりつつある。また、製麺所から麺を仕入れて、直前に手もみを行い、手打ち風の麺にしてから提供するお店も多く出てきている。
※本稿は、『ラーメン一杯いくらが正解なのか』 (ハヤカワ新書) の一部を再編集したものです。
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