毎日のように「物価高騰」が話題に上る今日この頃。その波は“国民食”ラーメンにも押し寄せています。集まらない従業員、原材料や水道光熱費の高騰、外国人観光客に向けた価格設定…。「長く言われてきた<1000円の壁>もすっかり崩れ去ろうとしている」と語るのが、全国47都道府県のラーメンを食べ歩くラーメンライターの井手隊長です。今回はその井手隊長の新刊『ラーメン一杯いくらが正解なのか』から、今、ラーメンを取り巻いている「現実」についてご紹介いたします。
ラーメンの“麺”は今
ラーメン一杯の値段を考えるにあたって、まずは麺について、その状況を整理したい。
日本は小麦の自給率が低いため、外国産の小麦を使った麺でラーメンを提供しているお店が昔から多かった。次第に、ラーメンの進化とともに国産小麦の麺を使うお店も増えてきて、「国産小麦使用」がステータスになっていたような時期もあった。
その後、国産小麦を使ったお店が真新しくなくなってきたことと、国産小麦の中でも当然品質の高いものからそうでないものまであるので、その中でもしのぎを削るようになってきた。
今では「春よ恋」「はるゆたか」「きたほなみ」など具体的な小麦のブランド名を提示しているお店、さらには数種のブランド小麦を独自ブレンドして製麺しているお店などさまざまになってきている。