大盤石と呼ばれる秀才

<錦織は第4週で初登場。トキ宛ての手紙を残し、出奔した夫の銀二郎を探しに東京を訪れたトキ。銀二郎の父から聞いた東京の下宿でトキが出会ったのが錦織だ。家が貧しく体の弱かった錦織は、中学を中退したのち、松江で無資格で教師をしていたが、教師資格を取得しようと上京。帝大の門の前で倒れていた銀二郎を助けて一緒に暮らしていた>
 

僕は、大河ドラマ『青天を衝け』(2021年放送)で渋沢栄一を演じました。『ばけばけ』の舞台も同じ明治時代。渋沢栄一は時代の変化を心から楽しめた人。でも時代の変化に取り残された人もいたはずだし、変化に流されるしかなかった人もいたはず。

じゃあ、錦織はどういう人物だろうと考えました。『青天を衝け』で感じた空気が、錦織の役作りにも生きていると感じています。

錦織は、「松江の大盤石」と呼ばれた秀才・西田さんをモデルにしているので、松江の皆様の思いを裏切らないように演じたいと思っています。第4週では、錦織の秀才感を意識して芝居をしました。錦織は松江を変えたいという思いがあって、教師の資格を取るために松江から東京に出てきました。

「これから自分たちで日本を動かしていく。変えていく」という思いを持っていた錦織。彼は恵まれた家庭で育ったわけではないけれど、自分が「秀才である」という自負もあったんです。

(『ばけばけ』/(c)NHK)

一方で、周りから評価されるプレッシャーもありますし、後々彼の抱えた事情や挫折も出てきます。錦織の抱える生きづらさがどう描かれるのか詳しくは聞いていないので、視聴者目線に近い感覚で台本が届くのを楽しみにしています。