出演者の浮世絵描写指導

――出演者の皆さんが、浮世絵を描く場面の裏側についても教えていただけますか? ドラマでは、たとえば絵師が床で絵を描く姿勢などはとても特徴的で強く印象に残っているのですが。

向井さん:自分たちは、出演者の方が実際に絵を描く場面や制作工程を見せるシーンで、視聴者の方に誤った情報を伝えないよう、特にケアをしています。

松原さん:絵を描く姿勢についても、ドラマなので多少の誇張はありますが、自然に見えるよう気を付けています。

たとえばドラマ内で最も多くの絵を描く、染谷将太さん演じる歌麿。実は歌麿が<自分の絵>を見つけてから以降、床で描く際、足を崩して寝そべった姿勢に変わっているんです。

(『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』/(c)NHK)

それはドラマの演出担当と染谷さんが探りながらたどり着いた形でした。

どうしても絵を床で描く姿は単調になりがちです。なので、重政は片足を立てて絵を描いていたりとか、絵師ごとに少しずつ違いがあるようにしてきました。

基本的な姿勢というのもあるのですが、最終的には役者の方々が自然と描きやすいポーズに辿り着けるまで練習をしていただく…といった工夫をしています。