本革にはないメリットは他にも……

パターンにおいても、合皮は本革にはないメリットがあります。

本革は動物の革なので、着丈に限りがあります。コートなどをつくる場合、継ぎ目を何箇所にも入れなければいけないことがあります。

(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)

一方、合皮はつぎ目を入れずにフォルムを形成できるので、スッキリと見た目を美しく仕上げることができます(あえて本革風に分割することもあります)。

また、良質な合皮の何よりのメリットは、軽さです。

本革の衣類は、どうしても重くなりがちです。着丈の長いコートの場合はかなりの重量感となります。合皮なら同じ着丈でも、肩のこりにくい軽さを表現できます。

もうひとつ、水への耐性も合皮の魅力です。本革は水に弱いため雨や雪には細心の注意を払う必要がありますが、合皮は水に強く、雨の日でも気軽に着られます。本革と違って特別な手入れが不要なので、メンテナンスが容易で日常的な使用に適しています。本革に比べると手ごろな価格で購入できることも魅力ですね。

本革の値段は、今後も容易には安くならないと予想されてます。人件費や原料の高騰などが影響して、本革の値段は上がり続けています。それに近年のファッション業界では、動物愛護の観点から本革の使用を減らしています。その代替素材として、合皮が選択されるようになってきました。合皮は動物由来の素材を使用しないので、今後も世界的に使用されるでしょう。