所属できていることの安心感
10年ほど前、子育てブログを書きはじめた頃に、50名程が所属するブロガーのオンラインサロンに入ったことがある。有名なブロガーが運営をしており、ホームページの作成方法や読者に読まれる書き方などを直接学べて月額千円だった。
初めはホームページを作りたかっただけだったが、facebookで交流している人たちを眺めているうちに話しかけたくなってきて「〇〇さんの記事読みました! 面白かったです。ちなみに私もこんな記事書いています!」などとコメントをするようになった。
毎日挨拶を交わすような人もでき、「斉藤さんのブログ面白いね! 才能あるよ」と褒められるようになると「やっぱそうだよね? ムフフ」と調子に乗りはじめ、少しずつ図々しくなり…。
仕事を辞め、子どもを産んで数年間、大人と話す機会がない毎日を送っていた私は、久しぶりに社会と繋がれた気がした。お母さんでしかなかった自分が「斉藤ナミ」として過ごせることや、書いたものを評価してもらえることは、個人のアイデンティティを再構築できたし、社会のどこかに所属できていることに、とても安心した。
サロンでの立場が自分の中でどんどん大事なものになりつつあった。そして、自分の評価が気になり、積極的にオーナーや運営メンバーに気に入られる発言や行動をとるようになってしまう自分がいた。
オーナーや公式アカウントからの発信には必ず拡散協力をしたし、サロン内でボランティアの協力を求められたらできるだけ手を挙げた。
「やりがい搾取」だとはちっとも思わなかった。必要とされ、感謝され、認められることが嬉しくて、自分で望んでやっていた。
