DXで本当に働きやすくなったのか
DX(デジタルトランスフォーメーション)を合言葉に、多くの企業が業務の自動化・効率化を目指して様々なシステムを導入しました。これで私たちの仕事が減って楽になるはず……、だったのですが、実際にはどうでしょうか。
産業医として勤務する会社の人と話していても、「システムが導入されて仕事が楽になってよかったね」という話はあまり聞こえてきません。確かに人力作業が自動化されたり、クラウド上のシステムを使えば時間や場所に縛られずに仕事ができたり、利便性は高まりました。しかし、期待したほどに仕事は楽になっていない。これが多くの人の実感ではないかと思います。
この状況を、「作業効率が上がって、生産性が上がった」と表現できるかもしれません。であれば、そのぶん時間の余裕が生まれてもいいはずです。私たちがDXに期待していたことはそういうことだと思うのです。
しかし、実際には生産性向上によって生まれた時間は、どこからか湧いてきた別の仕事で埋め尽くされていきます。DXが進んでも仕事が楽にならないのは、そういうことなのです。
そして、切れ目なく仕事に追われる私たちは、疲弊する寸前まできています。
『心を病む力: 生きづらさから始める人生の再構築』(著:上谷実礼/東洋経済新報社)
1万人以上を支援した産業医が神経学と心理学から導き出した
「強くならなくてもいい」「自分を責めなくてもいい」
ストレスフルな社会で生き抜くためのやさしい方法を初公開。





