エンタメと社会性を両立させた作風で人気の脚本家・野木亜紀子さん。ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』や『空飛ぶ広報室』など漫画や小説の実写化作品を多く手掛けてきた一方で、『アンナチュラル』や『MIU404』などオリジナル作品も執筆。魅力的な登場人物が作り出すポップな空気感にメッセージ性や社会問題をさらりと混ぜる。近年はドラマ『海に眠るダイヤモンド』や『フェンス』映画『ラストマイル』など社会派のイメージが強い作品も目立つが、今回手掛けたのは意外にもエスパーもの。大泉洋さん主演のSFラブロマンス『ちょっとだけエスパー』(テレビ朝日系、毎週火曜9時~)だ。「ずっとSFがやりたかった」という野木さんに作品に込めた思いを聞いた(取材・文:婦人公論.jp編集部 油原聡子)
そもそもそんなに「社会派」を背負っているつもりはないんです。あくまで結果。たとえば「沖縄のドラマを作りましょう」となったら社会派にならざるを得ない。
物語を作るときはどうしても社会と無関係ではいられないのでそうなってしまうだけで、社会派をやろうとは思っていないんです。
ドラマは面白ければそれでいいし、今回も面白いエスパードラマを作ろうとしているだけなんですよ。ここでいう「面白い」は、笑えるという意味ではなく、「興味深い」とか「考えさせられる」を含めた広い意味での面白さです。
『ちょっとだけエスパー』も、社会派だと思う人もいれば、全く思わない人もいると思います。バランスとしては以前の『コタキ兄弟と四苦八苦』(テレビ東京系)に近いかな。「レンタルおやじ」を始めたおじさん2人の平和なドラマだと感じる人もいれば社会派に感じる人もいましたから。