離職率を大幅に減らしたピクサーの制度
現代において「多様」の考え方をもっとも実践している企業といえば、「トイストーリー」シリーズで有名なピクサーでしょう。
同社にはピクサーユニバーシティーという教育施設が存在し、すべての社員は複数のスキルを無料で学ぶことができます。スキルの内容は「絵の描き方」や「実写映画の撮り方」まで幅広く、ここで身につけた技術は、再び新たなプロジェクトに使うように指導されるのです。
この制度は、ピクサーから人材の流出をふせぐために始まりました。当初はピクサーも社員の役割を完全に固定していたのですが、少しずつスタッフのあいだに退屈感が広まり始め、やがて優秀な人材がヘッドハンティングで引き抜かれる事態が続出。これを重く見たピクサーは「多様」の考えを取り入れ、スタッフの飽きをふせぐシステム作りを始めたわけです。
従来の経営理論からすれば利益を下げかねない取り組みですが、おかげでピクサーの離職率は大幅に減ったとのこと。結局は優秀な人材が残ったのだから、長期的には大成功と言えます。