(撮影:小林ばく)
舞台、映画、ドラマにと幅広く活躍中のミュージカル俳優・市村正親さん。私生活では2人の息子の父親でもある市村さんが、日々感じていることや思い出を綴る、『婦人公論』の連載「市村正親のライフ・イズ・ビューティフル!」。第14回は「愛があるから頑張れる」です。(構成:大内弓子 撮影:小林ばく)

「パパ作れるよね?」

今年は舞台が続いてずっと忙しくしています。それは本当にありがたいことです。ただ、子どもたちと一緒に過ごす時間が取れないのは、ちょっと寂しいね。この夏休みも、どこにも連れて行ってあげられなかった。

だから、子どもたちの言うことはなるべく聞いてあげたいと思っていて。たとえば、家に帰って来てから、「パパ、焼きそばが食べたい」「豚骨ラーメンが食べたい」なんて言われると、「おっ、いいよ!」とつい張り切って作っちゃう。夜遅い時間であっても、疲れていても。

焼きそばにはちょっとカレー粉を足してみたり、僕が助っ人MCを務める『あしたが変わるトリセツショー』で習ったスパイスセットを入れたりしてね。食べた瞬間に「どう?」って聞くと、親指立ててグッドのポーズをしてくれる。それが嬉しいんだよ。

やっぱり、出前を頼んだのではこの嬉しさはないから、いつリクエストされてもいいように、うちにはラーメンや焼きそばを常備しているの。

そもそも僕にしてみれば、遅くにできた子どもで、彼らと一緒にいられる時間がそんなに長くないという意識があるから、できるだけ父親の思い出を残してあげたいという気持ちが大きいんです。