僕が何かを作るのは、自分のためじゃなくて、誰かに喜んでもらうためなんです。自分のためだったのは、『炎の人』でゴッホを演じたときに描いた絵くらい。耳に包帯をしたゴッホの自画像の顔を自分に変えて、油彩で描いてみたんです。
あの有名な「ひまわり」の模写には「フィンセント・イチ」と署名してね。「星月夜」も描いたし、「タンギー爺さん」は背景にある浮世絵まで模写しました。
でもそれも、役作りでやったことだから、自分のためというより観てくださるお客様のため。もっと言えば、芝居をするということ自体が、誰かのためなんですよね。
こんなに毎日一生懸命苦労しているのも、いいものを見せてお客様に喜んでもらいたいという気持ちがあるからこそ。子どもたちに対してもそうだけど、愛があるから頑張れるんだよね。
