40~65歳くらいで心臓病予備群は特定される

心臓を守るという意味で、いちばん問題になるのは40歳から65歳くらいまでの年代です。体質的な要素に加え、環境的な因子による心臓病が増えてくるのです。とくに日本人は、その年代から高血圧の問題が表面化してきたり、肥満からくる糖尿病や耐糖能の異常が出てきたり、それら生活習慣病による動脈硬化も進み出すため、さまざまなバリエーションの心臓トラブルが生じ始めます。

そのバリエーションのなかには、急性大動脈解離をはじめとした突然死を招く心臓病があったり、本来3枚ある心臓弁が生まれつき2枚にしか分離していない二尖弁(にせんべん)や軽症の心臓弁膜症が、弁の経年劣化によって症状が出てくるレベルまで進んだりするケースもみられます。

つまり、40歳から65歳くらいまでの年代は、一生のなかで心臓の治療を受ける可能性がきわめて高い人が特定されてくる期間といえるのです。

たとえば、50代で冠動脈や骨盤の中にある腹部大動脈などの太い血管の石灰化が目立つといった場合には、将来的にさまざまな行動制限を受ける可能性が高い心臓病の予備群だといえます。

ちなみに動脈の石灰化は先ほどもふれた単純CT検査で把握できます。石灰化した血管は骨と同じように白く映るのではっきりわかるのです。