大腸の内部を直接観察できる内視鏡検査

一方、「内視鏡検査の精度は格段に高い」と近藤先生。

「大腸は、胃や食道と同様に筒状で中が空洞のため、カメラを入れて直接、内部の様子を観察することができます。だからこそ、自覚症状のまったくない小さながんやポリープも発見でき、かつ、小さいものならその場で切除して治療を終えることも可能なのです」

自治体や企業が健康診断で行う大腸がん検診では、手軽さとコストの面から、まず便潜血検査を2回行い、どちらか一方でも陽性になった場合、精密検査(大腸内視鏡検査)へ進むのが一般的。

「たしかに便潜血検査を毎年受けることで、大腸がんによる死亡率が下がることは証明されています。しかし、すり抜ける可能性はやはり否めないのです。ですから、50歳を超えたら、一度は大腸内視鏡検査を受けてほしいですね」

内視鏡の精度や技術も日進月歩で向上しているそう。

「波長の違う特殊な光を当てることで粘膜の異変を浮かび上がらせ、肉眼では捉えにくい小さな異常も目にとまりやすくなりました。さらに近年は、AI搭載の内視鏡も登場。AIは画像全体を素早く識別・判断するので、見逃しが激減します。内視鏡検査は検査医の力量に左右される面も大きいため、AIの普及はその差を埋めてくれると期待しています」

ちなみに、大腸ポリープはがんに関係あるのでしょうか。

「大腸がんは、正常粘膜から直接発生する場合と、まずポリープができて徐々に悪性度が高くなってがん化する場合があり、後者のほうが多いと言われています。実際、米国では大腸ポリープをすべて切除することで大腸がん患者数が9割近く減少したとの臨床報告もあるのです。内視鏡検査でポリープを見つけて切除すれば、その場でがんの芽を摘み取ったということ。これ以上ない予防です」