数あるがん検診の中でも、早期発見に繋がりやすい内視鏡での大腸がん検診。痛そう、恥ずかしい……と気後れしがちな内視鏡検査こそが、あなたの命を救うかもしれません(イラスト:末続あけみ 取材・文・構成:菊池亜希子)
検査は主に「便潜血検査」と「内視鏡検査」
日本人の2人に1人が一生に一度はがんになる時代。なかでも大腸がんと診断される人は男女ともに年々増え続け、現在、女性では乳がんに次いで2位、死亡者数は1位です。
「その要因は明らかではありませんが、食生活の欧米化が関係していると考えられます。50代から患者数が増えるのも特徴で、『婦人公論』世代が注意しなければならないがんの一つでしょう。とはいえ大腸がんは、早期に発見すれば高い確率で治癒できるのです」と、消化器内科医の近藤慎太郎先生は話します。
「多くのがんは無症状のまま進行するので、症状のない時期にいかに早く発見し、治療を開始できるかがカギです。大腸がんの5年生存率は、ステージIなら90%以上と高く、ステージIIで約85%、ステージIIIでも70%以上と、比較的、悪性度の低いがんと言われます。ところが、ステージIVではいっきに20%未満に下がってしまう。ですから、早期に見つける意義が大きく、検診が非常に有効ながんなのです」(近藤先生。以下同)
検査は主に「便潜血検査」と「内視鏡検査」の2種類。馴染み深いのは前者でしょう。
「大腸内にがんやポリープがあると、便が通過する際に出血が起こりやすくなります。それを確かめるのが便潜血検査。がんやポリープの有無でなく、出血を見つけるに過ぎないので、ときに検査をすり抜けてしまうことも。1回の便潜血検査で大腸がんを発見できる可能性は3~5割ほどです。2~3回繰り返すと約8割に上がりますが、ポリープの発見に関しては1~2割にとどまります」
