ちょっとした異変を見逃さないために

自覚症状のない早期がんの場合、自分で気づく手立てはないのでしょうか。

「トイレでは、便を観察する癖をつけましょう」と、近藤先生はアドバイスします。

「自身の排泄物は、体の中の状態を示す大切な情報です。便がいつもと違っていないかを日ごろから気にかけてください。血が混じっていませんか? 細くなっていませんか? がんやポリープができると大腸内が狭くなるため、便が細くなりがち。何か異変を感じたら定期健診を待たず、消化器内科で内視鏡検査を受けてください。病院選びに悩んだらホームページなどで確認し、大腸内視鏡の検査数が多い病院を候補にするとよいでしょう。この場合、ポリープ切除がなければ保険が適用され、1万円以内で検査できます」

内視鏡検査で何もなければ、次の検査は3~5年後でよいとのこと。もし、いびつな形や大きめのポリープ、もしくは多数のポリープが見つかった場合は、必要な処置の後、定期的な再検査で変化がないかを見守ります。

「内視鏡検査は早期がんやポリープを見つけ出し、その場で治療もできる非常に優れた手段です。受けたことのない人はもちろん、昔、一度受けたものの、そのときの痛みや恐怖から長年遠ざかっている方にも前向きに考えてほしい。ここ十数年で大腸カメラは進化しました。性能はもちろん、カメラ自体も細くなり体への負担が軽減しています。がんの芽を摘む機会と捉えてぜひ受けてください」

(イラスト:末続あけみ)
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