その心の内にわが子が存在していない
「それでも、子どもたちの人間関係の摩擦などのトラブルがあれば互いの親御さんと連絡を取らなければいけませんよね。
そういうご家庭って、こちらから親に何かを求める……たとえば、お子さんと話をしてやってくださいとか……この類の依頼に対しては露骨に嫌がります。でも、こちらがある程度動いて状況が落ち着いてくると途端に機嫌が良くなるのです。その一方で、親がそのトラブルに首を突っ込みすぎるようなケースもよく見られるのです」
そう、前者のタイプの親は「いかに自らが労せずに事を終息させるか」という点に重きを置いているのである。問題はその心の内にわが子が存在していない点にある。
※本稿は、『ネオ・ネグレクト 外注される子どもたち』(祥伝社)の一部を再編集したものです。
『ネオ・ネグレクト 外注される子どもたち』(著:矢野耕平/祥伝社)
「送迎バスで習い事はしご」「お金だけ渡して毎日孤食」「受験は塾に丸投げ」「SNS映えのための子育て」……。
便利さや豊かさの影で欠けているのは、親が子どもへ向けるまなざしと親子の信頼関係です。
本書は、効率や課金では埋められない“子どもにとって本当に必要なもの”を問い直し、親や社会がこれからどうあるべきかを考える指針となります。




