(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)
中学受験指導スタジオキャンパス代表の矢野耕平さんは、衣食住は満ち足りていても、親が子どもに関心を持てない状態のことを「ネオ・ネグレクト(新しい育児放棄)」と定義し、「富裕層といわれる家庭であっても見られる現象である」と語ります。そこで今回は、矢野さんの著書『ネオ・ネグレクト 外注される子どもたち』から抜粋し、実際にあったネオ・ネグレクトの事例をご紹介します。

一人の女の子が気掛かりで……

東京都心部の公立中学校で一年生の担任をしている女性教員は、一人の女の子が気掛かりだという。入学して早々遅刻が目立っていた子ではあったが、夏休みを境にして中学校を欠席する日が多くなっていたからだ。

そして、その子の母親と連絡を取ると、どうしたらよいかさらに混乱させられたらしい。

「お嬢さんがまだ学校に来ていないのですが……とお母様に連絡をすると、『まだ寝ているみたいですね。起きたら学校に行かせるので大丈夫です』と半分怒ったような、半分苛立っているような、そんな印象をこちらは受けたのですね」

女性教員がその女の子にいろいろ質問して生活面について探ろうとしても、家族の話は決して口にしないという。「友だちの**さんと**に行った」というようなエピソードはすこしだけ出てくるらしいが……。気になったのは、女の子は家で食事をとることはほとんどなく、専ら外食に頼っている点である。