シバフェスでは
撮影は、5月半ば~8月上旬にかけて行われた。野外での撮影は6月までにほとんど終了。暑い時期はスタジオ撮影に、との配慮でスケジュールを組んだことで、犬だけでなく出演するキャストやスタッフにも優しい現場になった。
犬と一緒の撮影で最も大がかりになったのが、第8回で描かれたシバフェス。『シバONE』主催のフェスで、柴犬とその家族が楽しめるお祭りだ。
6月下旬に行われた千葉での撮影に参加したのは一般募集した柴犬60頭あまりとその家族。「本当に柴犬が好きな人たちが来てくれました。みんな家族のよう。柴犬がたくさん集まったらけんかになりそうですが、うまく撮影できました」と内藤さんは振り返る。参加したエキストラの柴犬とその家族はキャンピングカーで訪れる人もおり、犬と一緒の旅に慣れている様子だったという。
制作陣がシバフェスの撮影で最も気にしていたのが天気。予備日も設けていたものの、撮影3日前の天気予報は雨。撮影当日、雨になってしまっては段取りもうまくいかないし、犬に負担も大きい。天候が不安定な時期だからこそ、延期しても確実に撮影が出来るかわからない。大規模な撮影に慣れているスタッフも柴犬が集まる「シバフェス」は初めてのため、「天候」と言う不安材料を抱え眠れぬ日々を過ごしたという。
ところが、心配をよそに天候に恵まれ、当初の予定通り6月下旬に撮影することになり、ホッとしたのもつかの間、次なる課題は暑さ対策だった。犬は人間よりも地面が近いため暑さを感じやすい。テントを張って日陰を作り、水や氷を用意して、制作陣が動物監修や指導の専門家と「具合の悪い犬、人はいませんか」「水分は足りていますか」と頻繁に呼びかけた。
ドラマは全9回の予定で、まもなくクライマックスを迎える。内藤さんは「『シバONE』編集部のメンバーは1人1人はとんでもない人ですが、目的を見つけたときには努力を惜しまないし、柴犬がいることでひとつになる。当初は難しい撮影になるかと考えていましたが、我々も柴犬が撮影の真ん中にいることによって、みんなで助け合って撮影できました。すごくいい空気感のドラマになったような気がしています」
NHK総合 毎週火曜 夜10:00〜10:45
【原作】片野ゆか「平成犬バカ編集部」
【脚本】徳尾浩司
【音楽】YOUR SONG IS GOOD
【出演】大東駿介、飯豊まりえ、片桐はいり、こがけん、篠原悠伸、やす、黒田大輔、水川かたまり/柄本時生、津田健次郎、MEGUMI/瀧内公美、勝村政信、松坂慶子 他