またBさんの場合。
新婚旅行でフランスに行ったとき、たまたま立ち寄ったジャム専門店に胸打たれ、帰りの飛行機の中で妻に打ち明ける。
「ジャム屋をやりたい!」
はいはい、ステキな夢ね。妻は軽くいなしたが、その後、夫は、ジャム屋になるための具体的な長期計画表を作り、妻に提示する。それを見た妻は覚悟を決める。
「ここまで真剣に考えているのなら、協力するしかない」
しかしそのあと夫は会社を辞めず、妻は一人でジャムを追究し、大量のジャムを作って道の駅に置いてもらったり知り合いに配ったりしながら少しずつ認知度を高め、同時に店舗の立地選びや従業員集めなども一手に担う。その間、亭主が妻を手助けしなかったわけではないだろうが、ジャム屋オープンに向けて主体的に働いたのはどうやら妻のほうらしい。
夫の言い分を聞いてみれば、
「僕が会社を辞めたら収入が途絶えてしまう。生活を維持するためにも、しばらくは会社を辞めないほうがいいと思ったのです」
そう言われると納得するけれど、そもそもジャム屋を始めたいと言い出したのは、夫でありますぞ!
