かつて人間の脳の研究者に聞いた話を思い出す。元来、男が狩りをするときは、まず目標を定め、チームを組み、計画を立てて順次前へ進む方策を取ってきた。一方の女は、子供をあやしつつ、家のそばで小さな狩りをする。木の実を集めたり食べられる草を摘んだり。
そこで突然、大雨が降り出したら、狩りを中断すればいい。しかし男は長期的な目標を立てているぶん、臨機応変には計画を変更できないものらしい。
私は合点した。たしかに男たちは長期的展望に長けている。反対に私たち女は概して目の前に落ちているものや足りないもの、役に立つもの、気になることなどに敏感であり、いわゆる近視眼的なものの見方をするきらいがある。先行きの心配がないわけではないけれど、とりあえず今夜のおかずをなににしようかと考える。少なくとも私自身はそういうタチである。今まで仕事をしてきて、
「とりあえず細かいことはあとにして、先に進みましょうよ」
そう言われたことが何度かある。
男と女。なにがどう同じでどこが違うのかはわからないけれど、見解の相違を非難し合うより、違いを受け入れて、面白がればいいのにね。でもなかなかね。できないのね。ついムカッとくるんですね。だからこそ、早期退職者の妻たちの決断には、心の底から頭が下がる。
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