早期退職の成功者たちは最後に必ずと言っていいほど同じ言葉を吐露なさる。
「会社を辞めたことを後悔したことはありません。収入は減ったけれど今のほうがシアワセです。でもすべては妻のおかげ。妻には感謝しかありません」
ずいぶん昔になるが、中国の雲南省を訪れた。そこで働いているのはほぼ女性だった。畑を見渡しても、工場帰りのトラックを見ても、店に入っても家を覗いても、女性の姿しかない。男たちはどこにいる? たまにおじいちゃんが赤ん坊の世話をしていることはあるが、その他の男たちは道端に座り、あるいはウロウロ歩き回り、あるいは談笑するばかりである。
その旅に同行していたダンフミが憤慨し、お茶屋さんで働いていた若い女性に問いかけた。
「あなたたちは腹が立たないの? 男どもはいったいなにをしているの?」
女性が二人、顔を合わせて笑った。そして答えた。
「男たちは夢を見ます。詩を作ります。歌を歌います」
それを聞き、ダンフミはさらに憤慨し、私はへええと感心した。男たちを甘やかすつもりはないけれど、そうかもしれないと思ったのだ。
