きっかけは「フランダースの犬」

沼尾:そんなある日、地域の朗読サークルに入っていた母に「一緒に行かない?」と誘われ、気乗りしないまま見学に行くことにしました。

そこでは「フランダースの犬」の朗読劇の練習をしていました。楽しそうに練習しているみなさんを隅っこで見ていると、突然「どうしよう、どうしよう」とみんなが騒ぎ始めました。主人公ネロのお友達のアロア役の方が急に来られなくなって困っていました。

その時いっせいにみんなが私を見たのです。「沼尾さんの娘さんがいるじゃない!お願い!」と。私は窮地に陥りました。ああどうしよう。いつもの私なら「まかせて!」と二つ返事で引き受けるのに、今の私には無理。でも……。

こんなに皆さんから待ち望まれてるんだ! やってみよう!。これほどドキドキしたことは生放送の現場でもありませんでした。第一声がちゃんと声になって教室に響いてみなさんが喜んでくれた瞬間、私はうれしくてたまりませんでした。母と自転車を押しながらの帰り道、涙がとまりませんでした。

「第一声がちゃんと声になって教室に響いてみなさんが喜んでくれた瞬間、私はうれしくてたまりませんでした」

後編へつづく

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テツandトモ「おんどくドクドク」

自身が脳梗塞から失語症となり、「音読トレーニング」によって奇跡の回復を果たしたフリーアナウンサーの沼尾ひろ子さんが作詞を手掛けたこの「おんどくドクドク」は、沼尾さんが考案した「音読体操」をもとに「ぴーぱっぱ」「じーざっざ」「きーきゃっきゃ」といった歌詞を実際に歌う(声に出す)ことで、脳への刺激を与え認知症予防に効果が期待できます。

舌や顔の筋肉を動かす不思議な言葉の発音や、「青井(あおい)さん、青井(あおい)さん、葵(あおい)のご紋(もん)は あいうえお」、「やえやまの よいやみに ゆめみごこちで やいゆえよ」といった五十音別の言葉遊びがたっぷり入ったこの歌を歌うのは「なんでだろ~」の歌ネタと、表情豊かな「変顔」で子供から大人まで大人気のお笑いコンビ「テツandトモ」。

物忘れや認知機能の衰えが気になる大人世代が“青春時代”を思い出す「ディスコサウンド」にのせて歌います。

■各音楽配信サイトにて配信中
https://tetsu-and-tomo.lnk.to/ondoku

●「おんどくドクドク」ミュージックビデオ

●「おんどくドクドク」振付動画