「変わっている」ほうがむしろ嬉しい
古内 以前のインタビューを拝見すると、そもそもドリアンさんがゲイのコミュニティに参加するようになったのは高校生の頃だったとか。ネットを通じてゲイのグループの人たちと親しくなったそうですが、怖くはなかったのでしょうか?
ドリアン 初めてネットでゲイのコミュニティを検索したのは中学3年のときでした。若かったので、怖いというより好奇心満々で。自分のセクシュアリティがゲイだということもまだおぼつかない中、掲示板で知り合った方々が本当にご機嫌で楽しい方たちばかりだったので、そこから「ゲイって、めっちゃ素敵じゃん!」と思うようになったんですよ。
古内 そこで、ご自分の性的指向が定まった?
ドリアン ええ、そのグループの中のある方に初恋をして、自分はやっぱりゲイなんだと腑に落ちました。とはいえ、それ以前も自分がゲイであることを悩んだことはありませんでした。
古内 それがすごいと思います。「自分は他の人と違う」と気づくと、ネガティブな気持ちになってしまう人も多いでしょう?
ドリアン むしろ、「あんたたちが知らないような遊びを知ってるんだから」という優越感のほうが強かったですね。
古内 ドリアンさんがゲイだと目覚めた90年代はサブカルも流行っていたでしょう。普通よりも、ちょっと変わったもののほうがカッコいいって。
ドリアン 確かに、「面白いヤツが勝ち」みたいな感覚があったかも。アタシもサブカル少年だったので、とにかく「普通」であることがイヤだった。むしろ、「みんなと違う」「変わってるね」と言われるほうが嬉しくて。
古内 みんなと違うことで悩んだ経験は?
ドリアン まったくありません。アタシは凡庸な人間なので、凡庸であることの悩みのほうが大きいです。「もっと突き抜けたかった」って、今でも思います。とくに、ナチュラルボーンの天才肌の人たちに出会うと、この人たちに比べて自分はなんて凡庸なんだろうとヘコんじゃう。
古内 でも、だからこそバランスが取れていらっしゃる。
ドリアン うん…。そうかもしれませんね。アタシが今、こうして先生と対談させていただけるのも、平凡な部分を持っているからだろうと思います。ドラァグクイーンというと、とかくアーティスティックな感性や強いこだわりを持った人間だと思われがちですが、アタシは自分をアーティストだと思ったことは1度もなくて。
古内 そうなんですか?
ドリアン ええ、シャールさんと同様に、以前はサラリーマンをやっていたので、マーチャンダイザー的な気質も強いんですよ。今のエンタメ業界はこんな感じだから、じゃあ、どういう路線で行こうかみたいなことを考えるのも好きですし。実は、みなさんがイメージするような素敵な存在じゃないのよねと思いながら(笑)、ドラァグクイーンをやっています。
『女王さまの休日 マカン・マラン ボヤージュ』(著:古内一絵/中央公論新社)
「終わりなんかじゃない。あたしの旅は、まだ始まったばっかりだ!」
シャール、ジャダ、さくらが訪れたのは、台湾。
食、物、歴史、そして人との出会いが、新たな気づきとなる――。
大人気「マカン・マラン」
開店10周年でなんと新作発売!
ドリアン・ロロブリジーダ主演のシチュエーション・コメディ「DURIAN DURIAN」(ドリアン・ドリアン)、2026年4月、東京・有楽町 I’M A SHOWにて、上演決定!

■公演概要
公演名:「DURIAN DURIAN」(読み:ドリアン・ドリアン)
脚本・演出:村角太洋(THE ROB CARLTON)
出演:ドリアン・ロロブリジーダ
雷太 神里優希 村角ダイチ(THE ROB CARLTON)
岩瀬亮 飯原僚也(ダウ90000)
会場:I’M A SHOW(東京都千代田区有楽町2丁目5番1号有楽町マリオン(有楽町センタービル)別館 7F)
日程:2026年4月
主催:サンライズプロモーション
公式サイト:https://durian-durian.srptokyo.com/
X(旧Twitter):@durian_comedy






