50歳のとき、テレビ局のハラスメント上司という強烈なキャラクターを演じたことがきっかけで、ブレイクを果たした岡部たかしさん。クセのある人物や気弱な役を巧みに演じ分ける実力派は、今期の朝ドラ『ばけばけ』で、2度目の父親役に挑んでいる。ヒロイン・トキと、父・司之介(つかさのすけ)の関係性は、自身と息子との間柄とも重なる部分があるそうで――(構成:大内弓子 撮影:小林ばく)
離れていた息子とは友達のような関係
息子のことを心配する気持ちも、歳を重ねるにつれて信じるようになってきた、祈りや念みたいなものの一つかもしれないですね。
僕は離婚していて、息子が6歳のときに離れてしまったので、ほぼ父親の役割をやっていません。でも、時々会ってはいましたし、朝ドラで父親役を演じるときも、そういう自分のなかにある子どもに対する気持ちや経験を信じてやっているんです。
『ばけばけ』のトキは、自分から「教師になって家族を養う」とか「婿を取る」とか言い出して家族の暮らしを何とかしようとする子で、父親よりしっかり者なんですけど。それでも司之介は、「この子の将来はどうなるんやろ」と、心配はしているんですよ。(笑)
大人になった息子の岡部ひろきは、僕と同じ俳優になりました。僕が出ている舞台を観て、こんな面白いことをやっているのか、自分もやってみたいと思ったようです。「城山羊の会」で一緒に舞台に立ったこともあります。今は、これまででいちばん近くにいて、父親をしているかもしれません。
「親父」とか「おとやん」とか言われると、ちょっとドキッとして、父親だと思ってくれているんだなとうれしくなります。ただ、関係性としては親子というより友だちに近いですね。