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「道明寺」か「花沢類」か

漫画を描き続けると、どんどん登場人物が育ってくる。意思を持って動き始めて、いつしか作者の言うことを聞かなくなってくる。「えっ、待ってよ、そっち行くの?」って思うような場面でも、もう止められない。

『花より男子』の中で、つくしがニューヨークへ道明寺を追っていくシーンがある。道明寺家と母親に阻まれて、道明寺は冷たくつくしを追い返すしかなかった。失意のまま、とぼとぼと歩いて邸宅を離れるつくしが、ブルックリン橋を見上げられる場所に一人でたどり着く。そこで声をかけたのは、日本にいるはずの花沢類だった。

ここが最後の分かれ道。「道明寺」か「花沢類」か。

私は最初にこの漫画を始めたときに、相手役に花沢類を選んだ。もう一度、分岐点を作るにはここしかないと思ってお膳立てをした。いいよ。花沢類を選んだとしても、私がなんとかする。そう思っていた。

「さあ、どうする?」

私の中のつくしは「どうしても道明寺がいい」と言った。

「やっぱりそうかあ……。だったら離れ離れになるよ。道明寺なら、ここから試練が待っているよ」と思いつつも、私もそれに付き合うしかないとページを進めることになった。