こうして書いていると、とても浮世離れしていると思われるかもしれないけど、私だけじゃないはず。こんなふうに漫画家なら誰しもが、登場人物の声を聴きながら描いているのではないかな、と思っている。
連載が終わったとき、とにかくほっとした。それと同時に、頭の中の声が消えた。ずっと同じ部屋にいて、テーブルを囲んで、いつもワイワイと騒いでいる登場人物たちの声を聴いているイメージだった。その人たちが、終了と同時に消えていった。
「ああ、これが終わるっていうことなのか」と思った。力が抜けて何もできなかった。
全力で走って、牧野つくしに伴走してきた。彼女の足が速くて、たくましくて、追いつけないときもあったけど。
「もし、こんな子がいたら、友達になりたい」と思って描き続けていた。「間違いなく私の友達だったな」と今は思っている。
※本稿は、『花より漫画』(神尾葉子:著/KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
『花より漫画』(神尾葉子:著/KADOKAWA)
漫画家生活30年以上。少女漫画界のレジェンド・神尾葉子が、はじめて自身の歩みと創作の裏側を《言葉》で語る初のエッセイ集。
『花男』の誕生秘話、主要キャラクターたちへの愛着、メディア化についてなど、初めて明かされるエピソードも紹介。
著者ならではの、あたたかくユーモアに満ちた〈日常のドラマ〉が詰まった一冊。





