さて、イタリアのどこへ行ったかとか何をしたかとかどこが感動的だったかとか、そういう話をしても読者にとってはちっとも面白くないだろう。それより今回の旅で学んだことをお伝えしてみたい。結論からいうと、若い頃の海外旅行と高齢になってからの旅は、根本的に要領と対処に明らかなる違いが生まれることを思い知った。
まず、旅の間じゅう、腰が痛い。膝ががくがくする。なにしろ出発の日、すでに羽田空港の中をゲートに向かっている途中で、
「腰が痛い。もう歩けん」
相方が立ち止まってしまったのである。普段、ここまで腰痛を訴えることはなかったが、非日常の荷造りやスーツケースの上げ下げですっかり弱ってしまったようだ。いったいこの調子でこれから一週間持つかいな。免税品店での買い物なんぞしている場合ではなくなった。痛がる亭主をなんとか引き連れてドラッグストアへ駆け込む。久しぶりの洋行で最初の買い物は、腰に巻く強力なコルセットと湿布パッドであった。
