とことん自分と向き合ってみる
その作者が、第二歌集からおよそ10年の沈黙を破り『展開図』を出版します。その変化は一言では言えないもの。
開けばそこに過去の自分がいるようでエレベーターに吸われゆくなり
筆洗いバケツの中の濁り水 盗まれたように時間が過ぎた
どちらも、『乱反射』とは違い、他者の存在や目を意識しないで、ゆっくりと己の独白を始めます。歌の作りも景がありありと浮かぶほど立体的になり、言葉の骨格がきちんと整えられて美しいのが魅力です。ここには、思春期の自意識から自由になり、ご自身と誠実に向き合う小島さまの成熟と変化が見えてきます。
おお、お嬢様も自身と組み合う成熟には随分ご納得の様子。嬉しいことでございます。華やかなアクセサリー! バッキバキの主張の強いワンピース! 派手なヒール! これも、ご自身と向き合うためと? 確かに、自分と対話しながら他人の目を気にせずファッションを楽しむのも、自分とのコミュニケーションかもしれませぬな。
え? もう脱ぎたいからお手入れを頼むと?! これすべて丁寧なお手入れ必須。お洋服はドライクリーニング必須ではございませぬか。いえいえ、そこまでご自身でやってこそ自分の対話を大事にするものではございませぬか?
もう眠くて仕方ない? 困りましたな、しょうがない、わたくしめで担当することといたしましょう。まったく、小島さまの自分ととことん向き合う姿勢を、お嬢様にも持っていただきたいものです。
今回ご紹介した歌人
小島なお(こじま・なお)
1986年東京生まれ。「コスモス短歌会」所属、同人誌「COCOON」編集委員。
2004年に角川短歌賞受賞。07年に歌集『乱反射』で現代短歌新人賞、駿河梅花文学賞を受賞。その他に歌集『サリンジャーは死んでしまった』『展開図』。
千葉聡との共著に『短歌部、ただいま部員募集中!』がある。
