「それから私のブランチで何年かおきに3回上演したので、もう終わりにしようと思ったんだけど、今回また魔がさして(笑)」(篠井さん)

 

篠井 リアリズム演劇の金字塔的作品を、ジェンダーの枠を超えてやることに抵抗があったんでしょうね。35年くらい前の話だから。それで急遽別の作品を書いてもらって、それを上演したの。

右近 女方で、ですか?

篠井 ええ、女方で、オリジナルの芝居。そこから僕が『欲望~』を上演できるまでに、9年かかりましたからね。

右近 どうやって著作権者を説得したんですか?

篠井 だんだん世の中が変化してきたこともあるし、アメリカでは別のテネシー・ウィリアムズの作品で男性が女性の役を演じたという情報を得たので、すぐに交渉して許可をもらったの。

それから私のブランチで何年かおきに3回上演したので、もう終わりにしようと思ったんだけど、今回また魔がさして(笑)。だって杉村春子さんは80歳でブランチを演じてたんだから、67歳の僕もやれないことはないだろうと思って。

右近 大丈夫ですよ。

篠井 ありがとうございます。今日はここへ来る前に歌舞伎座昼の部の右近さんの八役早替り、『蜘蛛絲梓弦(くものいとあずさのゆみはり)』を拝見してきましたけど、まぁお見事でした。

最初、可愛らしい禿(かむろ)で出て、座頭になったり、傾城(けいせい)になったり、最後は蜘蛛の精になって押戻(おしもどし)の荒事まで演じちゃうんだから、それは見事なものでしたよ。

右近 お褒めいただくのはそのくらいでいいですよ。(笑)