篠井 まぁ、学芸会だからね。僕は子どもの時に杉村春子さんの『欲望~』のテレビ中継を録音して、そのカセットテープをずうっと寝る時に聴いてたからね。それが鳴海四郎さんの訳で、やっぱりちょっと昭和初期の、古めかしい感じがして。

僕が初演した時の『欲望~』は小田島雄志先生の訳でしたけど、僕には鳴海四郎の杉村春子調が結構出てましたね。それから3回目が雄志先生の御子息の恒志先生の訳になって、今回はG2さんの訳になりました。

右近 そのたびに憶えなおすのは大変ですよね。それにしても、最後に精神科病院へ送られるような暗い役を、よく子どもの時にやりたいと思いましたね。変わってる。(笑)

篠井 ええ、母親も気持ち悪がってました。変な子ね、こんな芝居が好きだなんて、と。

右近 なんで好きっていうのがわかったんですか。

篠井 とにかくもう、雷に打たれたような衝撃を受けたんですよ。右近さんが六代目の『鏡獅子』の映像を観て、衝撃を受けたのも同じだと思うけど。でも右近さんのおうちはご理解があるけど、僕のところは芸能とは関係のないうちだから結構大変でしたよ、ここまで来るのが。

中編につづく

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