ぬいぐるみの表情を読むとは?

ぬいぐるみの表情。
ぬいぐるみの気持ち。
これ……判るひとには、判るんだ。(いや……ある意味、それは当たり前だと思うんだけれど。)
でも。
“ぬいぐるみは生きている”“ぬいぐるみの表情はその時のぬいぐるみの気分によって変わる”“いいことがあるとぬいさんはとても嬉しい顔になる”“哀しいことがあるとぬいさんの表情が沈む”、これ、私は自分にとっての常識だと思っていたんですけれど……でも……心のどこかで、「これ、判るのは私だけかも」なんて、すっごく思い上がったことを……ちょっと考えてもいたんですね。
でも。
そんなこと、ないんだ。
判るひとには、判るんだ。判るひとは……本当にぬいぐるみの表情が、読めるんだ。

これは。
多分、この方が、とてもぬいぐるみに理解がある方だから、それで起こった現象ではないんじゃないかと、今の私は思っております。
いや、勿論、とてもぬいぐるみに理解がある方であっただろうとは思うのですが……それより前に。
この方、おそらくは、お嬢さんが好きで好きでしょうがなくて、ほんとにお嬢さんが大切な父親だったんじゃないかなって、思います。
で、お嬢さんの、ぬいぐるみに対する気持ちを、理解するに至った、そんなひと、だと。
素敵、だな。
多分、この方は、別にぬいぐるみが好きな訳ではなかったんじゃないかと思います。でも、お嬢さんのことは、ほんとに、好きだったんだよね。
だから、お嬢さんが大切に思っていた、ぬいぐるみの気持ちを、慮ってくれたんだよね……。
これはもう。“感動”っていう言葉では足りません。
だって、このひと。
私の顔じゃなくて、うちの子(あの頃、鞄についていたのは“ダナさん”だな)の表情を見ただけで、私が落ち込んでいたこと、判ってくれたんだ。