持ち主の気持ちで変わる表情
ぬいぐるみは。
その持ち主の気持ちによって、その表情が変わる。
いや、その前に。
ぬいぐるみは、“表情が変わる”ことがある、それ、私にしてみれば“常識”なんだけれど。でも、これを“常識”だって思っていないのが、世間的な“常識”。それまで私はそう思っていましたが……そうでもないのか。
ぬいぐるみは、表情が変わることがある。これを理解してくれるひとも、いるんだな。
この瞬間。
私は思いました。
うん、ぬいの話。
判るひとには、判るんだよ。
(……ちなみに。うちの父は、勿論私のことを愛してくれていたと思うし、私のことを大切に思っていてくれたに違いないとも思うんですが……でも……私のぬいぐるみの表情の変化を……まったく判ってはくれませんでした。……って、そっちの方が、多分、普通だと思うんだけれどね。というか、私のぬいさんの表情の変化なんて、まったく気にしていなかった、そんな父であったと思います。でも……どう考えても、うちの父の反応の方が、普通だよな……。ついでに言うと、母は、勿論私のことを愛してくれていたんですが……ぬいぐるみには、まったく愛情をもっていなかったな。父は、ぬいぐるみのことなんかどうでもいいっていうスタンスだったんですが、母は。とても綺麗好きだったので、埃や汚れをため込んでしまうぬいぐるみのこと、衛生上の事情として、ひょっとして憎んでいたのかも知れない。幼かった私がどんなに懇願しても、母に捨てられてしまったぬいさんは結構いましたし……大体が、母、私のぬいさんをダンボールに封印して、うちの天袋に押し込むって、よくやっていましたから。)
いや、こりゃもう。
判るひとには判る。判らないひとには判らない。そういう世界の話なんだろうと、思っております。

