
4,000匹以上のぬいぐるみと暮らす小説家・新井素子さんの日常がここに。「ぬい活」が一般化するはるか以前、「ぬい」という呼称を生み出し、社会からずっと変人扱いされてきた新井さん。「ぬいぐるみは生きている」と本気で確信し育んだ「ぬい」たちとの生活には、ただごとではない発見と幸せのヒントが詰まっていました。
ぬいぐるみの地位があがった
はじめまして。ないしは、以前私のお話を読んでくださった方は、いつもどうもありがとうございます。
私は、新井素子と申しまして、小説家をやらせていただいております。このお仕事始めたのが十七の時だったので……えー……そろそろ、五十年近く、これやってるかな。
それと同時に、もう、むっちゃくちゃ、ぬいぐるみが好きです。ぬいぐるみは私の家族です。ものごころついた頃から、ずっと連れ添ってきた……大体、三つくらいの時におばあちゃんから貰ったわんわんさんをはじめに、えーっと、ちょっとおそろしい数のぬいさんと同居しております。
(あ、“ぬいさん”というのは、ぬいぐるみさんの略ですね。たとえば、わんわんさんとか、ワニのエッセルさんなんかは、家族として、私の心の中ではかなり“偉い”ので――ぶっちゃけ、私やうちの旦那より、家庭内ヒエラルキー、上です――、こんな方々を敬称抜きに呼ぶのがちょっとはばかられて……だから、うちのぬいぐるみは、全部、ぬいさん。敬称、ついてます。という訳で、ここから先の文章では、“ぬいぐるみ一般”のことを“ぬいぐるみ”って書いて、うちの子のことを、“ぬいさん”って書くようにします。)
それで。最近思うのですが……今、ぬいぐるみの社会的な地位、あがってきていませんか? いや、ぬいぐるみの地位なんて言うの、あまりにも俗っぽいか。でも……どうも、そんな気がしてならない。
