“変人枠”に入れられた過去
というのは、私、ただごとではない数のぬいさんと同居しているので(今となっては数は四桁)、昔から、ぬいぐるみ関係の取材を受けることが結構あったんですよね。それが……二、三十代の頃と今とでは……何か、感触が違ってきている。
以前はね。何か、“変人枠”だったと思うんですよ。「こんなに沢山のぬいぐるみを持っている新井素子って変なひと」っていうくくり。(大体、ぬいさんは、“持っている”ものではない。同居しているんだ。)けれど、最近では……。
ぬいぐるみと同居しているのは別に珍しいことではない、鞄にぬいぐるみをつけたりしていつも一緒に行動しているのも普通、ぬいぐるみと一緒に旅行に出るのも、旅先でぬい写真を撮るのも普通。そんな感じになっている……ような気がします。
(ちなみに。三、四十年前には、鞄にぬいさんをつけて歩いているのは“おかしく”て――いや、そこまではいかなくても“何か変なひと”で、ぬいさんと一緒に旅行して、新幹線や飛行機の窓際の席がとれたら、ぬいさんを窓の処において、ぬいさんに外の景色を見せているのは“異常”“このひとは一体何をやっているんだろう”、人々の視線は、そういう感じだったと思うんですよね……。まあ、当時の私の被害妄想もはいっているのかも知れませんが……あきらかに“奇異なものを見る目”で見られていたって覚えがあります。)
それが、今では。あっちこっちで鞄にぬいぐるみをつけて歩いているひと、見かけるし。旅行にぬいぐるみを同伴しているひとの話は、まったく珍しくない。そして、これはちゃんと聞いたことはないんですが……そういうひと達は、きっと、旅先で、綺麗な景色やお花なんかがあったら、その前でぬいぐるみにポージングしてもらって、写真撮ってるんじゃないかなあって思います。(いや、これ、ぬいさんが本当に可愛いんだよ! 一回、旅先ぬい写真を撮ってしまったら、もう、自分や旦那の写真なんかまったく撮らずに、ぬい写真に走るね。)あと、ぬいぐるみと一緒に寝ているひとだって、きっと、きっと、いるんじゃないのかな。
