自己憐憫を超えたあとに
そんな中、散々の男女間の煉獄と失望を見て来た作者の、次の歌には清廉な祈りすら感じます。
うす闇に君が吸ふなる煙草の火わがかなしみをあつめて光る
隣で、恋人が煙草を吸っている。その火は、作者の「かなしみをあつめて光」っているというのですね。これまでの歌に比べると、キャラクター化せざるをえなかった自己劇化や自己憐憫もなく、まっすぐな思いが伝わって来ます。愛する人のしぐさに、自分の悲しみを見る、切なくも等身大で、人を愛する女性の思いは、近代短歌というカテゴリーを超えて、恋する女性の核を表しているようではありませんか。この境地の歌を読む時、わたくしめは心底安堵するのです。
あらあら、お嬢様、「安く寂しくひとりあるべき」そんなに胸に刺さりましたか。そう言えば、ここのところマチアプ疲れがひどうございましたものね。うむうむ……安く寂しくひとりあるべきとそう何度も唱えられまして、どうなさいました? え? その手元は! マチアプ全削除!!! ふう! 思い切りの良いお嬢様でございますな。いいひとりの時間、いいパートナーシップの求め方、これはバランスが難しい問題のようでございます……。
今回ご紹介した歌人
原阿佐緒(はら・あさお)
1888年宮城県生まれ。与謝野晶子に学び、「アラゝギ」に所属。
歌集『涙痕』『白木槿』『死をみつめて』『うす雲』。1969年逝去。
