映画が捉えた「居場所」の作り方

「WAR BRIDE」が世界に広がるなかで、「多くの人の心に響く普遍的なテーマではないか」と考えるようになった川嶋監督。一方で、「桂子さんの人生を伝えきれていない」との思いもあり、2作目の制作を決意しました。

2作目では、桂子さんのほか、3人の戦争花嫁を探し、取材を申し込みました。桂子さんへの取材で強く印象に残った「人を愛する」ことを軸に、他のエピソードをそぎ落とすことで、作品に厚みを持たせました。

異国の地で、彼女たちは何を思い、どうやって自分の居場所を作り上げてきたのか。桂子さんを含めた4人の女性が登場します。空軍二等兵との結婚を家族に反対されながら、それでも愛を貫いたツチノ・フォレスターさん。夫の失踪という試練を経て、自らの力で人生を切り拓いた恵子さん。歌声がひとつの縁となり、音楽を生涯の支えにしたマリコさんです。

「1作目の取材の過程で、戦争花嫁の研究をしている安富成良・嘉悦大元教授と知り合い、米西海岸・特にシアトルに戦争花嫁が多くいることを知りました。3人に連絡を取り、リモートも含め何度も取材をさせていただきました。みなさん90歳を過ぎていてしかも海外とのやり取りだったので、なかなか取材がうまくいかないなどの苦労もありました。それでも、壮絶な体験をしながらも、たくましく生き抜いている魅力的な3人のお話を届けたかった」

と川嶋監督は振り返ります。

マリコさんと恵子さん『War Bride2 奈緒と4人の戦争花嫁』(c)TBS

2作目のインタビュアーは奈緒さんです。

「奈緒さんは本当に稀有な方です。舞台版でも10歳から95歳までの桂子を演じ切りましたが、彼女と桂子さんの共通点は『芯の強さ』と『愛』。役が乗り移るかのような彼女の表現力なら、4人の戦争花嫁たちの懐にすっと入り、一番大切な物語を引き出してくれると確信してのオファーでした。次世代を担う女性である奈緒さんが桂子さんの人生を伝える役割を果たすことで、世代と世代をつないでもらいたいと思ったんです」

奈緒さんの静かな語りが描き出すのは、アメリカの美しい自然と優しい人々、そして確かにそこにあった差別と愛です。

桂子さんの話を聞く奈緒さん『War Bride2 奈緒と4人の戦争花嫁』(c)TBS

そして、川嶋監督は4人の戦争花嫁の姿を通して、現代を生きる女性たちへ伝えたいメッセージがあると言います。

「受け取ってもらいたい言葉はまぎれもない『真実の愛』です。桂子たちが生きた時代は、町ぐるみや家族ぐるみで『絆』や『縁』を重視していました。彼女たちは幾度となく差別や偏見に苛まれ、二度と親きょうだいの顔を見ることができないかもしれない異国の地へ旅立ち、そこで家族を作り『居場所』を作った。その逞しさや輝きを、この映画で見て頂けると嬉しいです」