次世代へ伝えるには
今年は戦後81年。戦争体験者の多くは亡くなり、生きている方から直接話を聞ける機会は減ってきました。川嶋監督は「今が最後」と考えているそうです。
実は、川嶋監督には「祖父の戦争体験を聞けなかった」という後悔がありました。「父方の祖父は、日本郵船に勤め、主に欧州の定期航路に携わっていたのです。日本郵船は戦時下では軍事輸送も担っていので、戦地に人を運ぶ仕事を任命されていた。乗っていた船が 何度か沈没したこともあったけれど生き残った。1945年の8月6日、祖父は、広島の爆心地から1.5キロのところにいた。私のこれまでの人生からは想像もできないような経験を祖父はしていたと聞いたんです。本人から話を聞けていたら、映像にして残していたと思います」
『WAR BRIDE』シリーズ制作を通じて、「異なる世代が協力して『我が事』として戦争体験を伝えていくにはどうすれば良いのか」を常に考えるようになった川嶋監督。次世代へ届けるための取り組みも行ってきました。
1作目の完成後には、桂子さんの母校である横浜雙葉学園で上映会を開催。7歳から18歳の1200人が集まりました。
観終わった後、「戦争を起こさない為にはどうすればよいか?」という瑞々しく、そしてまっすぐな質問を投げかけてきた生徒たち。
「未来を担う世代に届けるのはこういうことだと思いました。知らないからこそ、戦争について考える機会がない。知らせるにはどうすれば良いかと悩み続けています。次の展開は模索中ですが、映像や舞台がやはり彼らにリーチしやすいと考えています。『戦争が起こらない世の中』を次世代の皆様が考える一助となるよう作品を、これからも作っていきたい」(川嶋監督)。
「TBSドキュメンタリー映画祭」のラインナッププレゼンテーションで審査員を務めたLiLiCoさんはこう話していました。
「私はドキュメンタリーが一番好き。知らない世界を知ることで、自分の器が大きくなるから。劇映画と違って、エンドロールが終わった後も、その人たちはまだ人生を戦っている。一般の方々の一日一日を取り上げる作品から、私は力をいただきます。それが私の人生の原動力なんです」(映画コメンテーター・LiLiCoさん)
ドキュメンタリーは「自分を成長させてくれる」もの。困難な時代に、新しい場所で道を切り拓いてきた女性がいた。彼女たちの物語は、決して「過去のもの」ではありません。今を生きる私たちに、自分の人生をどう選び、どう愛していくかを、深く問いかけてくれます。
TBSドキュメンタリー映画祭 2026
3月13日(金)より、東京・大阪など全国6都市で順次開催。
歴史的事件から、いま起きている社会のうねり、市井の人々のささやかな日常、
さらに時代を映すカルチャーまで──。
TBSテレビおよびJNN系列局の記者・ディレクターたちが現場で掴み、
魂を込めて世に送り出してきたドキュメンタリー。
その情熱が一堂に結集する場、 それが 「TBSドキュメンタリー映画祭」。
テレビ局主催としては世界的にも稀有な映画祭として、長年培った取材力と膨大なアーカイブを武器に、
社会問題から文化、 ライフスタイルまで、多彩なテーマで“いま”を切り取り続けてきた。
2021年のスタート以降、回を重ねるごとに観客動員と注目度は拡大し、 2026年で第6回を迎える。
上映作品やスケジュールなどの詳細は公式HPをご確認ください。