第二次世界大戦後、「敵国の兵士」と結婚して渡米した日本人花嫁がいた――。舞台「WAR BRIDE -アメリカと日本の架け橋 桂子・ハーン-」が8月5日から27日まで東京・よみうり大手町ホールで上演されます。 原案はTBSのドキュメンタリー作品。連合国占領下、日本に駐留していた兵士と結婚して海外に渡った女性は「戦争花嫁」と呼ばれていました。戦争を憎みながらも米軍兵士と恋に落ち、日本とアメリカの架け橋となった実在の“戦争花嫁”、桂子・ハーンを奈緒さんが、夫のフランク役をウエンツ瑛士さんが演じます。奈緒さんに本作への思いを聞きました。(取材・文 婦人公論.jp編集部)
大きなやりがい
――「なぜ、敵国の兵士と結婚したのか」。現代に生きるジャーナリストがこの疑問を解き明かすべく、桂子の人生をたどる形で物語が進みます。1951年、米兵と歩いているだけで「娼婦」と言われた時代。桂子は20歳の時に、日本に駐留していた米軍兵士・フランクと結婚し、渡米します。アメリカでも人種差別を受けますが、フランクの愛に支えられ、桂子は日本とアメリカの架け橋となっていきます。今年、日本は戦後80年を迎えます。奈緒さんがこの作品のオファーを受けたときのお気持ちを教えてください
戦後80年というタイミングで「愛」と「家族」、そして「戦争」について向き合えるこの作品に出演できることに、ものすごく大きなやりがいを感じました。特に「戦争」は、私自身が年を重ねるにつれてもっと深く知らなければいけないと思っていたテーマだったからです。
私は福岡出身なので、小さなときから長崎の原爆資料館に行ったり、原爆は福岡に落ちる予定だったという話も聞いたりして育ちました。私の祖父は戦争に行きましたし、戦争が他人事ではないという思いがあったんです。
祖父が生きていなかったら自分もいなかった。若いときからたくさんの選択肢を持つことができる今の時代に、なぜ、自分が生きているのかをひもとくためにも、深く向き合わなければいけない作品だと考えています。