中の物をデスクに広げるが、肝心の鍵は見当たらず…(写真:stock.adobe.com)
時事問題から身のまわりのこと、『婦人公論』本誌記事への感想など、愛読者からのお手紙を紹介する「読者のひろば」。たくさんの記事が掲載される婦人公論のなかでも、人気の高いコーナーの一つです。今回ご紹介するのは北海道の50代の方からのお便り。金曜日の夕方、仕事を終えて家に帰ろうとしたところ、車の鍵が見つからず――。
鍵を失くした
金曜日の夕方、長かった1週間がやっと終わる。ほっとして、パソコンの退勤ボタンを押し、斜めがけバッグの前ポケットに右手を伸ばす。車の鍵を探すが、それらしき物の感触がない。
中の物をデスクに広げるが、肝心の鍵は見当たらなかった。慌てて保冷機能がついたランチバッグも覗いてみるが、あるのは空の容器が2つだけ。内ポケットも丁寧に探すが見つからない。
車だけでなく、家の鍵も一緒についているため、さらに焦る。引き出しを開け、デスク下も這いつくばって大捜索するが出てこない。駐車場から会社の建物までの道、廊下、トイレなどありとあらゆる動線も探したが、無駄骨に終わった。
アパートでは、ペットのうさぎがお腹を空かせて待っている時間だ。仕方なく、管理会社と火災保険会社に電話すると、すぐに鍵業者を派遣してもらえることに。久々にタクシーをつかまえ、シートに身を沈めると、どっと疲れが出た。
人の良さそうな鍵業者のおじさんが来てくれ、道具一式を廊下に広げて作業開始。しかしすぐに、苦戦している様子が素人の私にも伝わってくる。
「いやー、最近の鍵は、ピッキング対策で開きにくくなってるからねえ。無理かもしれないよ」と、ひとり言ともつかない台詞が溜め息とともに聞こえてくるが、そんな不吉な言葉に反応してはいけない。愛するうさぎがお腹を空かして待っているのだ。「どうしても、開かないと困るんです」と、嫌われない程度に力を込めてお願いする。