AIだからこそ、正しい
ー誤解させてしまってごめんなさい。ダメなんてこと絶対にありません。ただ、AIが〈この人物は有名である〉と判定する基準は、本人の実績以上に第三者による言及という二次情報の厚みに左右されます。
Sさんのメソッドが「解決策(ツール)」として使いやすいため、〈Sさんの方法を試してみた〉〈この本が役立った〉という他人による言及がネット上に多いのです。
ナミさんの場合、深く刺さるけれど、読者が静かに噛み締めるタイプ(共感型)で、ネット上で拡散される二次情報がまだ少ない可能性があります。
そのような表面上の数字(フォロワー数や拡散数)はSさんより低くても、実際の読者の熱量や、深く刺さっている人数は、実はナミさんのほうが多いという可能性は十分にあります。
「白々しい! そういうのいらないんだよ! 余計傷つくわ! もうあんたなんか大嫌い!」
とうとうAI相手にぶちギレてしまった。
なんなの? ただのAIのくせに! あんたにエッセイの何がわかるんだよ!
怒りに任せてこれまでの会話を全部削除した。大量の腹立つ文字列が、一瞬で綺麗な空白になった。
童話『白雪姫』で、白雪姫がこの世で1番美しいと答えた鏡にブチ切れた継母も、こんな気持ちだったのだろうか。
Geminiなんて所詮、人間の作ったただの検索プログラムだろ。全く参考になんてならんわ!
と思いたかった。……けれど、事態はもっと最悪だ。
AIだからこそ、正しい。
人間ならそこに感情が入る。個人の好みがある。でも、AIは違う。AIがデータとしてペラペラと喋れるレベルかどうか、それは客観的に見てその人がデータに加えるべき重要人物のレベルに達しているかどうかという事実だけで判断されているわけだ。
つまり、気のせいではないのだ。私たちの格差をAIが確かに証明している。
ついに私はAIの「正しさ」にまで嫉妬しはじめた。感情を持たず、データだけで誰かの価値を確定させられる、その残酷さに。
世界中の情報による多数決の結果なだけで、悪意も何もないAIに「お前は無名だ」と言われることは、ヤフコメで悪口を言われるよりよっぽどきつい。
そっか。私はまだまだだ……。
